個人投資家がAIスクリーニングで市場平均に勝てるのか?

「AIで銘柄選定すれば儲かる」——そんな話をよく聞くようになりました。でも本当でしょうか?

この記事では、実際にAIスクリーニングシステムを構築し、S&P500全銘柄を対象に5年分(73万件)のバックテストを実行した結果を公開します。

結論を先に言うと、市場環境によって結果が大きく異なることが分かりました。


検証環境

  • 対象: S&P500 全503銘柄
  • 期間: 2020年1月 〜 2025年12月(5年間)
  • データ: 約73万件の日次データ
  • 手法: 4つの投資戦略を同時にバックテスト

使用した4つの戦略:

  1. AIリバーサル戦略 — 暴落銘柄の反発を狙う
  2. バリュー戦略 — 割安銘柄を選定
  3. グロース戦略 — 成長率の高い銘柄を選定
  4. モメンタム戦略 — 上昇トレンドに乗る

結果1: 月次パフォーマンス比較

まず、各戦略の月次パフォーマンスを比較します。

月次パフォーマンス比較

最も目立つのはAIリバーサル戦略のリターンです。ただし、これは暴落月に限定した数値であることに注意が必要です。

通常の相場では、どの戦略もS&P500平均と大きな差がありません。つまり、普段は何を選んでも同じということです。


結果2: 長期トレンド

5年間の累積リターンを見てみましょう。

成長トレンド

興味深いのは、2022年のベアマーケットを挟んで戦略間の差が広がっている点です。

  • 強気相場(2020-2021): 全戦略がほぼ同じパフォーマンス
  • ベアマーケット(2022): リバーサル戦略が突出
  • 回復期(2023-2025): 差が定着

これは「暴落時にどう動いたか」が長期リターンを決定的に分けることを示しています。


結果3: リスクとリターンの関係

各銘柄のリスク(ボラティリティ)とリターンの相関を見てみます。

リスクとリターンの相関

一般的な金融理論では「リスクが高いほどリターンも高い」とされますが、実際にはかなりバラついています。

特に注目すべきは:

  • 高リスク・高リターンの右上グループ — ベータが高く、暴落時に大きく沈むが反発も大きい
  • 低リスク・中リターンの左中央グループ — 安定した銘柄で平均以上のリターン
  • 高リスク・低リターンの右下グループ — 最も避けるべきゾーン

結果4: ポートフォリオ配分

AIスクリーニングが推奨するポートフォリオの配分は以下の通りです。

ポートフォリオ配分

テクノロジーセクターの比重が大きいのは予想通りですが、意外なのはエネルギーセクターの存在感です。これは暴落時の反発力が評価されているためです。

セクター 配分比率 理由
テクノロジー 35% 安定した成長力
エネルギー 25% 暴落時の反発力
ヘルスケア 20% 景気耐性
金融 12% バリュー要因
その他 8% 分散効果

結果5: 戦略別の詳細比較

各戦略の詳細な比較データです。

戦略比較

指標 AIリバーサル バリュー グロース モメンタム S&P500
年平均リターン +18.4% +11.2% +12.8% +10.5% +11.8%
最大ドローダウン -32% -28% -35% -25% -27%
シャープレシオ 0.85 0.62 0.58 0.55 0.60
勝率(月次) 65% 58% 55% 57% 60%

AIリバーサル戦略の年平均リターン+18.4%は魅力的ですが、最大ドローダウン-32%というリスクも伴います。


結果6: 回復までのタイムライン

暴落後、各戦略がどれくらいの期間で回復するかを検証しました。

回復タイムライン

暴落からの回復速度は、銘柄選定の質を測る最も重要な指標の一つです。どれだけ下がるかではなく、どれだけ早く戻るかが長期リターンを左右します。

  • AIリバーサル: 平均63日で回復
  • バリュー: 平均85日で回復
  • グロース: 平均92日で回復
  • モメンタム: 平均105日で回復
  • S&P500: 平均88日で回復

まとめ

  1. 普通の相場では、何を選んでもS&P500と変わらない
  2. 差がつくのは暴落時。ここでの銘柄選定が長期リターンを決める
  3. AIリバーサル戦略は暴落時に最も効果的だが、リスクも高い
  4. 回復速度の差が累積リターンの差になる

個人投資家がAIスクリーニングで市場平均に勝てるか? 答えは「暴落時に正しく動けるなら、Yes」です。


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